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6年理科「ものの燃え方と空気」授業実践1

この授業をしたかった!試してみたい学習課題があったからだ。


拙著学習課題の見える化で学力アップ!驚異の板書ツール『課題ボード』入門」(明治図書)では、「課題設定能力を伸ばすワーク」のコーナーがある。
ここで、火のついたロウソクに容器をかぶせ火が消える様子を提示した後、どのような学習課題を設定するか?という演習問題がある。
「火はなぜ消えたのだろう?」
でもいいがストレート過ぎる。
「容器の中の様子を図で表そう。」
というのも面白い。私がここでイチオシしたのは、次の課題である。
「何度も実験して考えよう。」
ただ、まだこの学習課題で実際に授業をしてみた訳ではなかった。
 
そしてこの学習課題を試すチャンスがやってきた。結果から言おう。
この学習課題の威力はすさまじかった!
 
実験のセットは切ったペットボトル、たたんだアルミホイル、ロウソク、ロウソクを立てるための画鋲と粘土。これを全員に1セットずつ用意する。ペットボトルは自分で持って来させた。グループに1つ100円ライター。
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まずは教師の演示である。写真のように火のついたロウソクにペットボトルをかぶせる。子どもたちが注目する中、火は燃え続ける。少し弱くなったかなと思った次の瞬間、火は白い煙に変わった。
子どもからため息のような声が漏れる。
『火はどうして消えたんだろう』と聞く。
「・・・・・・」
「・・・・・・空気?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あまりに長い沈黙に私が耐えられず(苦笑)課題を提示した。
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何度も実験して火が消えるわけを確かめよう。
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早速、子どもたちは自分のセットで実験を始めた。マッチがいくらあっても足りないと思ったのでライターを用意したが、100円ライターのボタンを押し切る握力がほとんどの子どもたちになくて、各グループの中央に点火用のロウソクを一つ置いた。
子どもたちは何回か火が消える様子を確かめると、すぐに違う動きを始めた。
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↑これはペットボトルを浮かせて消えるかどうかを確かめている子。この時にペットボトルに水蒸気が着くのに目をつけている子もいた。ちなみにこの火は消えた。
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↑これはペットボトルの下から息を吹き入れている子。これも若干長持ちはするものの消える。
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↑これは下敷で風を入れている子。結果は同上。
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↑カッターナイフやハサミでペットボトルに穴を開ける子もいた(カッターナイフは危ないので私が切った)。このように開けると火は消えない。
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↑穴が小さくてもこの場合は消えない。
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↑これだけ穴が小さくても消えない。
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↑左のように切って、アルミホイルで穴の大きさを調整しながら試してみた子は、穴がかなり小さくても燃え続けることを発見していた。
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↑どれが一番燃え続けるか競争を始めたグループもあった。
 
子どもたちは空気が関係しているらしいことはなんとなく知っているが、目の前の事象はすっきりしないことの連続である。何度も実験することで、子どもの頭の中で、仮説と検証が繰り返される。
私はずっと前から、理科には情報蓄積のための飽きるくらいの体験活動が効果的であることを何度も確かめてきたから、この学習課題がうまくいく確信のようなものがあった。
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子どもたちのノートはどれも発見と推測に満ちており、最後に自分なりの「消える理由」に到達していた。今日の学習は全員がAである。(ノートには全員AAAと書いてある。)
f:id:KadaiBoarder:20150415192117j:plain逆さですみません。
何人かは穴が炎よりも上にあれば(もしくはペットボトルを炎の高さまで持ち上げれば)火が消えなくなることに気付いており、何かが上からおおいかぶさるようにして火を消すと考えたり、空気がそこから入れ替わって火が消えないと考えていた。水蒸気が火を消すと考えている子もいた。最もすごい子は、空気が上の穴から抜けて下から入ってくると予想していた。このように自分の発見を理論づけながら結論(消えるわけ)に結びつけている子の評価はSとした。(ノートにはAAAに花丸を書いた)
多くの子が容器の中に「空気」「酸素」をいくつもの○で書き、これらがなくなったり変化したりすることで消えることを説明しようとしていた。これで十分である。
次の時間は現在の予想を交流し、空気がどのように変化したかを調べる実験へと結びつけて行く。(続く・・・かな?)
 
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