一貫性をもつ①(シンプル授業⑦)
《授業の基本構成》
ねらいの設定→学習課題→学習活動→評価
ここまでで、授業をシンプルにするための「ねらいの設定」「学習課題」「学習活動」「評価」の留意点を述べました。
・ねらいを明確にし、するべきこととしなくてもよいことを明らかにする。
・ねらいを達成するための学習活動を自由な発想で考える。
・子どもたちが自信や達成感をもてる評価をする。
・子どもたちが「何をすればよいか」や「何を目標にすればよいか」が、はっきりと分かる学習課題を設定する。
さて、授業の基本構成を
ねらいの設定→学習課題→学習活動→評価
と示しながら、教材研究では
ねらいの設定→学習活動→評価→学習課題
という順序で説明しました。教材研究の順序には、きまりはありません。その教科、教材でやりやすい順序で設定していけばよいと思います。
ただ、その中で気をつけなければいけないのが、「一貫性をもつ」ということです。
例えば、一貫性が意識されていないなあと思う授業にこのようなものがあります。
〈ね ら い〉登場人物の気持ちの変化を捉える。
〈学習課題〉「ごん」の気持ちが変わったところはどこか考えよう。
〈学習活動〉「ごん」の気持ちが変わったと思うところに印をつけ、お互いの意見を交流する。
〈評 価〉今日の授業の感想を書く。
この授業の問題点はどこにあるでしょう。
まず〈ねらい〉である「登場人物の気持ちの変化を捉える。」は揺るがないものとして考えます。
そのための〈学習課題〉『「ごん」の気持ちが変わったところはどこか考えよう。』も、ねらいを子どもの意識に合わせて下ろしています。
そして、〈学習活動〉も、「印をつける」「交流する」という具体的な活動で、ねらいに迫るようになっています。
この場合の問題は、〈評価〉です。漠然と感想を書かせてしまっては、今日のねらいが達成されているか教師は把握できません。また、子どもたちも今日の学習が達成されているか分からないし、そこから自信や達成感も生まれてきません。
この授業のねらい、学習課題、学習活動に合った評価を考えてみます。
・ 交流を終え、自分の最終的な意見をワークシートに書く。
・ 教師が『今日、「ごん」の気持ちの変化したところを見つけられた人は手を挙げましょう』と言い、挙手させる。
・ 教科書やプリントに、気持ちが変化した印が書けているか教師が一人一人確認する。
・ 気持ちが変化した印を書いた教科書やプリントを提出する。(後日、評価を書いて子どもに返す。)
などが考えられます。いずれにせよ、「登場人物の気持ちの変化を捉える」というねらいが達成されたかどうかを把握し、場合によっては達成されていない子に再指導ができるような形にしなければなりません。また、できた子には、プリントに「合格」のハンコを押したり、「できたね」「すばらしい」などの声がけをしたり、「できた人」「はーい」と挙手の機会を与えたりして、達成感や自信を与えられればよいです。
学習課題で示したことを、子どもたちがしっかり行ったか、できるようになったかを教師が確認し、評価することで、子どもたちは「先生は、課題に書いたことはちゃんと確認するんだな」と学習に対する構えが変わります。
逆に、学習課題で言われていないことを最後に評価されてしまうと、子どもたちは学習課題の重要性を感じなくなってしまいます。
ねらいから、評価までの一貫性があることで、シンプルでも効果的な授業ができるのです。

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