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6年国語「やまなし」「イーハトーヴの夢」実践編3

「五月」「十二月」の象徴性に気づかせる学習に入る。

 
普通はそれだけで5、6時間はかかる内容である。
 
それを2時間でやろうとしているのだ。
 
しかし
 
私は目的のためには手段は選ばない。
 
なのでここは1問1答の問答で授業を進めようと思う。
 
さらに教師の解釈も語ろうと思う。
 
「問答」「教師の解釈」一般的な国語の授業ではあり得ない方法であるが、時間的な制約の中で私が取りうるベストと考える。
 
教師の解釈も語るが、押しつける気はもちろんない。
 
それをきっかけに自分なりの解釈を見つけられればと思う。
 
今日の課題。
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「五月」の場面を通して、賢治が伝えたかったことを考えよう。
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朝のうちに「五月」を1枚のプリントにして朝の読書の時間に配布した。
 
朝の読書の時間に、子供たちが「いいなあ」と思って黒板に書いた意見に線を引かせた。(実践編1、教材研究4参照)
 
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一斉音読1回の後、学習に入る。今日はいっぱいしゃべるぞ!
 
『みなさん、賢治が伝えたかったこと、分からないでしょう。これは表面を追うだけではなかなか分からないお話なのです。今日はこの裏側にある賢治のメッセージを解き明かしていきましょう。』
 
一人しゃべりは続く。
 
『まず、クラムボンが分からないよね。』
『予想してください。クラムボン
生き物  か  物  か
大きい  か  小さい  か
一つ  か  複数  か』
うちのクラスの子供たちは手を挙げて発言はしないが選択の手は挙げてくれる。
 
子供たちの大多数が
「生き物」で、「小さく」て、「複数」を選んだ
 
『最初は「笑っていた」クラムボンが「魚が頭の上を過ぎ」たら「死んだ」となったのは何が起こったと予想できますか?』
 
シーン
 
だれも何も反応しない。
 
『近くの人と相談してみて』
「食べられた」「食べられた」「食べられた」「食べられた」「食べられた」「食べられた」
『・・・・苦笑・・・そう、食べられたことが予想できるよね。』
 
この後の場面の様子を絵で示しながら確認した。
 
魚は川下へ行き、
クラムボンは笑い、
日光が差し込み、
魚はまた川上に行き、
兄弟は「悪いことをしている」「取っている」と言い、
魚は川上から水に流されてきたところを、
かわせみに食べられた。
 
魚は光の中をじっとして流れてきたので、格好の標的となった。
 
賢治の描写は生態面でも的確なのだと思う。
 
そして
 
かわせみ ⇒ 魚 ⇒ クラムボン
 
と板書し、聞いた。
 
『ここに表されていることは何ですか。』
 
ノートに書かせると多くの子が「食物連鎖」「弱肉強食」と書いていた。
 
2名を指名し、黒板に「食物連鎖」「弱肉強食」とまとめた。
 
『さて、その後、かにの兄弟はぶるぶる震えてこわがっています。お父さんに「だいじょうぶだ、安心しろ」と言われているのに、何をそんなにこわがっているのですか?』
 
と問うた。これはグループで考えさせた。
 
誰も手を挙げないが、グループではけっこう話をするのがこのクラスのよいところだ。温度差はあるがどのグループもあれこれと意見を言って、配布した紙にまとめようとしている。
 
残念ながらすべてのグループから回答が集まった時に終わりのゴングが鳴った。
 
「五月」を1時間というのはやはり難しい。
 
明日あと20分、この続きをやろうと思う。 
 
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ねらいを定めて学習課題を作り、そこに到達するための手段は選ばない。
「課題ボード」はあなたの授業に自由を与えます!↓↓↓
 
 

6年国語「やまなし」「イーハトーヴの夢」実践編2

「やまなし」「イーハトーヴの夢」シリーズをずいぶん書いたが、授業はまだ2時間目である。

 
今日の課題
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本の紹介カードの「作者の紹介」に書く内容を考えよう。
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書き方の型として
宮沢賢治は〜人だ。わけは(それは)〜。」と示した。
もっと具体的には私が書いた「本の紹介カード」に実例が示してある。
 

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いきなりカードに書くのではなく、今日はノートに書いた。

 
「イーハトーヴの夢」の内容については授業では全く学習していないのである。宿題での音読とプリントの学習をしたのみである。
 
なので、今の時点ではあまり高いものを要求してはいけないと考える。
 
それでも子供たちは「イーハトーヴの夢」に紹介されている賢治のエピソードからいろいろなすばらしさを書いていた。
 
例えば
宮沢賢治は農業と農民を大事にした人です。それは自分の体調が悪くても肥料について教えるボランティアをしたり、家にきた人に丁寧に教えたりしたからです。」
 
現時点ではこれを合格にするしかないのだが、当然、物足りなさは感じる。
 
これからの学習で「やまなし」と宮沢賢治の生き方が結びつけば、ここでの内容が変わってくる子もいるかもしれない。
その時、子供たちがカードに書く内容が今日のより進化していることを願う!
 
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6年国語「やまなし」「イーハトーヴの夢」教材研究4

教材研究2でも触れたが、全体計画の3時間目と4時間目に、「やまなし」の優れた表現に気づかせる学習をしなければならない。そのイメージがどうにも浮かんでこなかった。

だが1時間目に子供たちに「いいなあ・好きだなあ」と思うところを書かせることによって、一つのヒントが浮かび上がってきた。

放課後、黒板に残っていた子供たちの意見を分類したところ、5つの種類に分かれたのだ。

青、黄、オレンジ、赤、緑に分けて仲間分けをした。

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青は、表現の美しさ

黄色は、やさしさ、温かさ

オレンジは、ユーモア、面白さ

赤は、恐怖、緊張

緑は、期待

実際の緑は「やまなしはあと2日たてばひとりでにおいしいお酒になるところ」という意見で、最初は分類名がつけられず、黒板には「お酒」と書いた。あとで同僚に「期待じゃない」と言われ納得した。

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オレンジ色・・・ユニークさと書いてありますがユーモアの間違いです。

 

学習指導要領解説には

『「優れた叙述について自分の考えをまとめる」とは,場面の展開に沿って読みながら,感動やユーモア,安らぎなどを生み出す優れた叙述に着目して自分の考えをまとめることである。』

とあるが、「感動やユーモア、安らぎ」以外に優れた叙述の例が示されていない。

そのことが、学習活動を明確にできない原因の一つだったが、驚いたことに、子供たちの意見の中から、5種類の具体的な視点が明らかになった。

学習指導要領の「優れた叙述」というのも、漠然とした表現である。しかし、こうして考えてみれば、「優れた叙述」とは、読み手をひきつける叙述、いや読み手をひきつけようと作者が意図して表現した叙述といえないだろうか。

子供たちは何も教えなくても「表現の美しさ」「温かさ、優しさ」「ユーモア」「恐怖、緊張」「期待」をもたらす叙述を見つけた。

この子供たちをさらに高めるためには教師は新たな視点を与えなければならない。

ならば私は「象徴性」を子供たちに教えよう!

実は「象徴性」こそが「やまなし」を読み解く切り札である。

学習指導要領解説にも

『象徴性や暗示性の高い表現や内容、メッセージや題材を強く意識させる表現や内容などに気付き、それらを評価したり、自分の表現に生かしたり、感想文や解説文などにまとめたりしていくことになる。』

とある。(私が学習指導要領を書く立場だったらこんなにレベルの高いことは小学生には求めないだろう。)

今回はこのゴールに真っ向から挑戦してみたい!

ねらいを明確にした教材研究、課題づくりの方法を詳しく解説しています↓↓↓

 

 

6年国語「やまなし」「イーハトーヴの夢」実践編1

さあ1時間目!

 
まず子供たちに8時間の授業の全体を示す。
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ただし③④は授業の形が自分でもはっきりしていないため、あいまいな表記にした。
 
そしてゴールの形「本の紹介カード」も見せる。 
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私が例として書いたものを、印刷して全員に配った。
このカードの中にもこれからの授業の布石を打ったつもりである。
 
8時間の中で「やまなし」の紹介カードと宮沢賢治の物語の中から自分で選んだ本の紹介カードの2つを書くことを伝えた。
 
そして今日の学習課題へと進む。
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「やまなし」を読んだ感想を書こう。
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感想はいつものように
(1)いいなあ、好きだなあと思うところ。
(2)いやだなあと思うところ。
(3)分からないところ。
(4)全体的な感想
である。
 
一斉音読の後、ノートに向かわせる。
 
 
重い。
 
(1)から鉛筆が動かない。
 
私は『思いつかない人は「ありません」と書いてもいいんですよ。』と言っているが、
 
同時に『全部書けた人は自分の「いいなあ」を一つ黒板に書いてください』とも言っているので、
 
真面目に子供らは考える。
 
「いいとこなんてないし」
 
と本音のつぶやきが聞こえる。
 
「ひとつも意味わからんし」
 
机に伏せってしまう子も出た(笑)
 
このクラスでは珍しい光景である。
 
「やまなし」恐るべし!
 
黒板に書いた子は宮沢賢治の本を読むよう言った。自分が紹介する本を見つけるためだ。
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そのうち
 
机に伏せっていた子も
 
「いいとこなんてない」と言っていた子も
 
苦しまぎれの、微妙に友達のを参考にしたような(笑)「いいなあ」を書いた。
 
苦しんでいた子は普段から宿題をきちんとしない子に多かった。
きっと宿題の音読をしっかりやってこなかったのだろうと予想する。
 
ともあれ全員が黒板に意見を書いたことで、今日の学習は全員合格としたい。
 
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さて、この黒板の中にこの後の授業の方向を決めるお宝があった!それは次回に!
 

 ねらいに向かって一直線の授業作りをしませんか!その方法がここに↓↓↓

 

6年国語「やまなし」「イーハトーヴの夢」実践編0

今回は実践編0。つまり授業前の実践である。

8時間しかない授業時間を有効に使うために、事前にある程度の学習が必要である。

シルバーウイークの宿題にプリントを3枚作成した。

 

「やまなし」ワークシート

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「イーハトーヴの夢」ワークシート

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イーハトーヴの方の問題は下にデータで示すので、活用されたい方はどうぞ。

 

「イーハトーヴの夢」ワークシート 

名前〔            〕

「イーハトーヴの夢」を読んで答えましょう。

(一)小学生の時の賢治はどんな少年でしたか。三つ書きましょう。

 

(二)賢治が中学生の時の事件と、それに対する賢治の考えを書きなさい。

事件

考え

 

(三)中学校を出て何という学校に行きましたか。成績はどうでしたか。

 

(四)賢治が農学校の先生になったのは何さいですか。その頃の口ぐせは何ですか。

年れい

口ぐせ

(五)先生としての賢治の理想はどのようなものでしたか。

 苦しい農作業の中に

 

(六)人々にやさしさを育ててもらうために賢治はたくさんの詩や童話を書きました。教科書で紹介されている作品を六つ書きましょう。

 

(七)賢治は自分で二冊の本を出しました。何という本ですか。

  童話集                  詩集

 

(八)童話集と詩集の評判はどうでしたか。

 

(九)農学校をやめた賢治がしたことを三つ書きましょう。

  • 「        」という協会を作って、農家の若者たちを集め、自分も農作業をしながら勉強した。
  • 村々を歩き回って、肥料のやり方を教える      をした。
  •       の共同経営者になって石灰肥料を広めた。

 (十)賢治の妹の名前は何でしょう。(P125)

 

 (十一)賢治は何さいでなくなったでしょう。

 

 (十二)賢治がなくなる前の日の晩の出来事を書きましょう。

 

(十三)「イーハトーヴの夢」では、賢治の数々のエピソード(事実、言葉、行動、出来事など)が紹介されていますが、あなたが最も賢治のすばらしさを感じるエピソードは何ですか。またその理由を書きましょう。

エピソード

 

理由

 

 

6年国語「やまなし」「イーハトーヴの夢」教材研究3

10月上旬の研究授業に向けて、教室では「やまなし」の音読を始めた。課外や隙間時間、宿題などで少しずつ読んで物語になじませたい。同じように「イーハトーヴの夢」も読み始めないといけない。
8時間という限られた時間の中で効率よく学習を進めるための事前音読は必須である。
 
さて、「単元を貫く言語活動」の指導案を初めて書いた。はじめの部分だけ掲載するので、参考にされたい方はどうぞ。
 
 
第6学年 国語科学習指導案
 

1 単元名

おすすめの作品の魅力を本の紹介カードで伝えよう「やまなし」「イーハトーヴの夢」
 
2 単元について 
・ 本単元は、「やまなし」を題材に、場面の描写を捉え、表現を味わいながら、優れた叙述について自分の考えをまとめることをねらいとしている。「やまなし」は一般的な起承転結の物語とは違い、一読しただけでは主題や作者の意図がつかみにくい。「クラムボン」「イサド」等の造語、幻想的な描写も、物語の独特な世界を作り出している。反面、深く読み込めば宮沢賢治独特の世界観が反映されていることに気付かされる。宮沢賢治の他の作品を読むことで、賢治の作品に共通して流れる世界観に触れさせたい。そこで、「イーハトーヴの夢」を読み、児童が宮沢賢治について知り、賢治の作品をより深く理解するための手がかりとなるようにしたい。
・ 児童は6年生になって「読む」に関わっては「カレーライス」と「私と本」「森へ」の学習を行った。「カレーライス」では登場人物の心情を捉え感想をまとめる学習を行い、「私と本」「森へ」では自分と本との関わりについて考え、「森へ」の推薦文を書く学習を行った。どちらの単元でも最後に自分の考えを書くことで、物語全体を見直し、作品をより深く理解しようとする児童の姿が見られた。ただ一方で、書くことが苦手でなかなか自分の考えをうまく表現できなかったり、読みが十分でなくありきたりの感想や推薦文しか書けなかったりする児童もいた。
・ 本単元を貫く言語活動として「本の紹介カード」を書いて宮沢賢治の物語を紹介することを位置付ける。紹介カードには「題名」、「作者(宮沢賢治)の紹介」「最も魅力的な場面(絵)」「最も魅力的な場面(引用、解説)」を盛り込むこととする。特に「最も魅力的な場面(引用、解説)」を書く際には、自分が気になる場面の様子を、描写や表現を味わいながら十分に想像するだけでなく、比喩等の表現上の工夫に気付かせていきたい。このことによって、本単元でねらう、「場面の描写を捉え、表現を味わいながら、優れた叙述について自分の考えをまとめる」ための言語活動となると考える。

運動会の作文

先週末に運動会があり、週明けの昨日、運動会の作文を書いた。

 
こんな生活作文でも、国語のねらいを意識すれば、指導ができ、学びも生まれ、評価もできる。
 
今日の課題
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自分が伝えたいことに合った書き方を選んで書こう。
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子どもたちは6年生なので、卒業文集に運動会のことを書く子もいるだろう。その時のためにも、思い出を文章で残しておきたい。
 
書き方の例として3つを示した。
 
A 時間の順番
B 心に残った順番
C 伝えたいことを一つにしぼる
D その他
 
Aは、したことを順番に書いていく方法である。単純であるが、事実の記録としては最もよい。
Bは、「ぼくが運動会で楽しかったことは3つあります。」「私が運動会で心に残ったことは2つあります。」などの書き出しで、事柄の順序で書き進める方法である。
Cは、書きたいことを一つにしぼる。板書では、応援団の子の視点で例を示した。この場合の効果的な技法として、「会話文・クライマックスからの導入」「時間の順序を変える(回想)」を示した。
Dは、自由に書きたい子向けである。
 
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本当はCで書いてほしいのであるが、この時間内では指導しきれない。
だから、「書き方を選んで書く」ことを指導の中心にした。
 
残念ながら1時間では誰も書ききれず、残りは課外となった。仕上がりが楽しみである。
 
各学年のねらいに合った作文指導の学習課題例もあります↓↓↓