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6年国語「時計の時間と心の時間」教材研究(2)

さて、この単元の軸となる学習課題を考えていこう。

まず、単元のねらいは「筆者の意図をとらえ、自分の考えを発表しよう」である。

さて、いったい子どもがどういう姿になったら「筆者の意図をとらえ、自分の考えを発表しよう」が達成されたことになるのか?

教科書には実に分かりやすい形でそれが書いてある。

教科書P43下段に児童の作文の例がある。この記事を読んでいる人は間違いなく6年の教科書を持っているような人だろうから、すべては書かないが、

「ぼくは、時間帯によって『心の時間』の進み方が変わるという事例に、納得しました。この間、いつもは夕方にするげんかんのそうじを、朝起きてすぐしたのですが・・・・・・・・(ほとんど略)・・・・・・前日までにできることをしておいたりするなどの工夫が必要だと思いました。」

これが一つのゴールである。

「一つの」としたのはもう一つゴールがあるからである。

8段落には筆者の理想とする姿が2つ書かれている。

「さまざまな事がらのえいきょうで、『心の時間』の進み方が変わると知っていれば、それを考えに入れて計画を立てられるでしょう。」

「また人それぞれに『心の時間』の感覚がちがうことを知っていれば、他の人といっしょに作業するときも、たがいに気づかいながら進められるかもしれません。」

教科書の先の例文はこの2つの姿の前者に対応したものである。

なぜ、前者に対応させたか?

私には分かる。執筆者の気持ちが。

子どもたちには後者に対応した作文を書いてほしいからである!(深読み過ぎ?)

私も後者に対応した文を子どもたちに書いてほしいと思う。

教室にはゆっくりの子がいる。ゆっくりの子を待てなくて「早く!」と急かす子がいる。お互いストレスがかかり、どちらも相手が悪いと思っている。しかし、犯人は別にいたのだ。個々の「心の時間」のずれがこのトラブルを引き起こしていたのである。

このことを十分に子どもたちに理解してほしいと思う。

そして、お互いを思いやれる教室に少しでも近づいていきたい。

担任ならだれもが思うだろう。

まあ、中には「寝る前は宿題がはかどらないので、学校から帰ったらすぐに宿題をしたいです。」と書いてほしい子もいる。

ここまで考えて、一つの学習課題が閃いた。

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「心の時間」のズレが生む事件

「こんなのあるある」大辞典を作ろう。

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「心の時間」のズレが生む事件というのは、意外に身近にある。

6年生の子どもにとって一番身近な例は「ひろし」だ(笑)

ゲームに熱中するあまりお父さんにコンセントを引き抜かれた「ひろし」(笑)

楽しいことをしているひろしと、いらいらしているお父さんの「心の時間」の隔たりがあの悲惨な事件を生み出したのだ。

子どもたちにもあるだろう。

『ペースが合わずにイライラしたこと』

『急かされていやな思いをしたこと』

こんな事件を100集めて、教室に掲示したい。

いや大辞典だから、冊子にしたらいいかな?そしたら事件簿か。

100は直感的な数字だが、子どもたちにはぜひ親にもインタビューさせて、大人の世界にも同じようなことがあることを知らせたい。

30人のクラスだから、1人3個か4個集めれば100は行けるような気がする。

100の事件簿を読めば、子どもたちも筆者の主張を実感できるのではないだろうか。そして、それを解決するためにはどうすればいいかというアイデアも1つ、2つ思いつくかもしれない。これが自分の考えになる。思いつかない子は「私は『心の時間』のズレを埋めることは不可能だと思う。わけは・・・」と作文を書けばいい。 

課題が思い浮かぶと楽しそうな授業の光景が目の前に広がってきた。

授業に入るのが楽しみである。

今日の宿題「時計の時間と心の時間」音読1回 

 

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