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6年国語「カレーライス」実践編2

「カレーライス」2時間目。

今日の課題は
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初発の感想を書こう。
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ある。現時点での感想を書き留めておいて、学習の最後に見比べてみることで自分の学びを自覚させることができるし、教師にとっても授業を構成するに有効な情報となる。
ただし、ただ書かせても有効な情報にはならないので項立ては必要である。
今回は
 〈いいなあと思ったところ〉
 〈いやだなあと思ったところ〉
☆〈ひろしの気持ちが分かるところ〉
☆〈ひろしの気持ちが分からないところ〉
とした。特に3つ目と4つ目はしっかり書いてほしいと伝え、☆印をつけて強調した。
思いつくことがない場合は「ありません」と答えてもよい。それも授業者には有力な情報となる。
教師の範読後、ノートに向かわせる。感想を書き切った子は小さな声で音読をするように言う。
放課後、子どもたちのノートを読み、名列表に一人一人の感想をメモしていく。30人のクラスなので、この作業には30分近くを要する。しかし、一人一人の読みの状況やクラス全体の現状を捉え、授業の方向性を見い出すためにそれだけのコストを払う価値がある。
まず気になるのは「ありません」と答える子の数である。「ありません」という答えが多い子は読みに難しさがある子が多い。〈ひろしの気持ちが分かるところ〉に「ありません」と答えた子は3人。〈ひろしの気持ちが分からないところ〉に「ありません」と答えた子は5人。幸いなことに両方に「ありません」と答えた子は1人もいなかった。これで赤線青線を引く作業は全員ができるということが確かめられた。
〈ひろしの気持ちが分かるところ〉で一番多い答えは「セーブもしていないのにコンセントを抜かれて怒る気持ち」で10人。「なかなかあやまれない気持ち」が8人。面白いところでは「お母さんがいつもお父さんの味方をするのがいや」というのが2人。「分かっていることを言われるのがいや」というのが3人。「急にどうだ学校などと話題を変えられるとそんなの関係ないと思う」が2人。高学年らしい感想に思わず微笑む。
〈ひろしの気持ちが分からないところ〉で一番多い答えは、「何日たってもあやまらない。しゃべらない。」で8人。面白いところでは、「ゲームを止められただけで怒ってすねてしまったところが分からない」と答えた子が1人いた。コンセントを抜かれて怒るというひろしの気持ちを「分かる」という子と「分からない」という子が同じ教室で勉強するのである。
〈いいなあと思ったところ〉には子どもの素直な感想が出る。「毎日カレーでいいなあ」と言う子が2人。「お父さんが子ども思いなのがいい。」「落ち込んでいたお父さんがすなおでいい。」「お父さんがあまり怒っていなくていい。」「一緒に料理するなんていいなあ」という子が各1。
こうして見てみると、それぞれの子がそれぞれのバックボーンを通して物語を読んでいることが分かる。
次に一人一人がどれくらい物語に興味・関心をもっているかを感想から推定してみる。十分に物語に入り込んでいると思える子(A)が14人。まだ表面的に読んでいるのではないかと思える子(B)が16人。最終的にはこの数字をA30人、B0人にすることも大きな目標である。(続く)