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シンプル授業の作り方《初級編》(1)漢字

 ここからは、実際の授業づくりを考えてみましょう。

 

 初級編(1)は「新出漢字の指導」です。ここでは低学年を想定してみましょう。

 ねらいは「新出漢字を正しい筆順で書けるようになる。」と設定します。これは学習指導要領にも「点画の長短や方向,接し方や交わり方などに注意して,筆順に従って文字を正しく書くこと。」と示されています。

 学習課題は例えば次のようなものが考えられます。

 新しい漢字を正しい書き順で書けるようになろう。

 ※ここで示す課題は該当する学年で未習のものも全て漢字で表します。

 これは、ねらいからストレートに下ろした課題です。

 評価も視野に入れれば、次のような課題も考えられます。

 正しい書き順で目をつむっても書けるようになろう。

 このような課題にすれば、学習の最後に目をつむって書けるかの確認(評価)が行われることになります。

 

 次に、学習活動を考えます。ここは自由な発想で考えましょう。

 大切なのは「全員に合格させること」。その上で楽しく熱中できる要素があればもっとよいです。

 最も簡単なのは、教師が「一、二、三、四・・・」と黒板で筆順を示しながら子どもたちにも空書きさせる方法です。インターネットの筆順サイトの動画を見せて教える方法もあります。

 一度では覚えられない子もいます。私の場合は、低学年であれば特に、声を出しながらの空書き、指書き(机に指で書かせる)を繰り返し行わせます。

 2年生くらいになると、漢字学習用のドリルに書かれてある筆順表を見ながら自分で書き順を確かめて練習することもできます。この場合も、途中で全員教師に向かって一斉に空書きをするなどして、筆順が正しいかを確認する必要があります。漢字練習ノートの升目に次々と1画ずつ増えていく漢字を書いて覚える方法もあります。

 筆順を覚えたら、鉛筆を持って、ドリルや漢字練習ノートに練習する時間を取るとよいでしょう。

 当たり前のことですが、学習活動は多様です。

 輪番で子どもが先生になって筆順を教える指導も可能です。先生も楽だし、子どもも力がつきます。

 教室には、なかなか習得が難しい子もいるかもしれません。そういう子の顔が思い浮かんだら、別の対処法も考えておくとよいです。

 

 そして最後は評価です。

 学習の最後に、目をつむって空書きをさせれば、きちんと覚えているかすぐに確認できます。

 隣の子に向かって書かせ、隣の子同士で確認する方法もあります。

 黒板に書かせる方法もあります。1列目の子が1画目、2列目の子が2画目・・・というように書けば、ゲームのように楽しく確認ができます。

 教師が黒板に書いてある漢字のある画に色をつけて、「これは何画目でしょう。」と聞いてもよいです。

 いずれにせよ、間違って書いていた子にはもう一度練習をさせて、正しい筆順を覚えさせます。

 このような簡単な指導では、私は評価の記録をしません。つまり、成績には入れないということです。その時間に確実な学びがあったかの確認はしますが、それを成績に反映させるかは教師の判断でよいです。

 

 この後、家庭学習で漢字を覚えるための練習をし、市販のテストにある漢字の問題や漢字テストなどで、書けるようになったかの確認をし、その点数を成績に反映させます。この場合も「授業では筆順」「家庭学習で書けるようにする」とねらいをダブらせず明確にすることが効果的です。