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6年国語「時計の時間と心の時間」実践編5

いよいよ「心の時間のずれ事件簿」を配布する時がやってきた!

 
結論から言うと思わぬ誤算があった。
84の事例を記したA3両面3枚の事件簿は読むのに30分近くを要したのである。
 
それはさておき。授業の実際を紹介しよう。
 
まず音読1回。昨日つけた線の色を意識しながら読むように言った。
 
そして事件簿を配った。さっそく読み始める子どもたち。時々、隣の子に何かをつぶやいている子がいる。みんな読み入っている。
 
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一度、事件簿を置かせ、教科書の8段落を見るように言う。
そして次の文に注目させる。
「また、人それぞれに『心の時間』の感覚がちがうことを知っていれば、他の人といっしょに作業するときも、たがいを気づかいながら進められるかもしれません
 
『筆者は「〜かもしれません。」とちょっと弱気な言い方をしていますが、みなさんはどう思いますか?』
『心の時間のずれ事件簿』にあるような事件を減らすことはできるのでしょうか?』
そして課題を提示した。
 
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自分のまわり(家族、親しい友達、クラス、学校、地域)に起こる、心の時間のずれ事件を減らすことはできるだろうか。
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そして子どもたちに追い打ちをかけるように言った。
 
『筆者の一川誠さんは大学の先生で、時間に関する本もいくつも出されています。』
『こんな風に小学生に向けて書くのは初めてかもしれません。しかもこの教科書は今年からこの話を載せたので、この勉強をするのは今の6年生が初めてです。きっと一川先生は6年生がどんな感想をもったか気になるでしょうね。』
『みなさんの考えを書いた作文を送ろうと思います。』
 
教室に「ヤバい!」という雰囲気が走った!
 
無視して
 
『それでは事件簿を読み終わった人から、今日の課題に対する自分の考えを書きましょう。』
 
黒板には項立てをしておく。
 
〈家族〉
 
〈親しい友達〉
 
〈クラス〉
 
〈学校・地域〉
 
一つ一つ「へらすことはできる思う。」「へらすことはできないと思う。」と立場をはっきりさせて、理由を続けて書くように言った。
 
『ではどうぞ。』
 
しかし、いつまで経っても読み終わらない。
ようやく最初の子が鉛筆を持ったのは、授業が終わる7、8分前であった。
 
書いている子のノートを見てみると、どの子も「へらすことはできると思う」と答えている。そしてどの子も「家族はお互いのことをよく知っているから」と理由を書いている。
私は個別に
『でも何もしないで減るわけではないよね。現に今、このような事件が起こっているのだから、何かをしないと減らすことはできないよね。』
と声をかけていった。
こんな個別指導を全員にして回るわけにはいかない。
 
幸いここで時間切れとなった。
子どもたちから思考と言葉を引き出す手立てが必要である。
 
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今のところ、次の案が自分の中では有力である。
自分の体験から、改善策を考えさせる。
 
「例えば、ぼくはゲームに夢中になってお父さんとけんかをしてしまったことがありました。でも、ゲームをしている時は楽しくて時間が早く過ぎていることを知っていれば、声をかけられたらすぐに時計を見て止めることができたかもしれません。お父さんにも、ゲームに夢中になって時間の進み方が違う僕のことを分かってもらって、いきなり怒らないように話しておけばよかったと思います。」
 
というような文章を書き加えさせれば、子どもたちがよりはっきりした自分の考えをもち、文章に表すことができると考えている。
これはもちろん、「あの時の僕とお母さんのけんかを止めるのは不可能だと思います。なぜなら・・・・」というように筆者に否定的に書いてもよい。
 
明日、6時間目の学習で子どもたちの学びをどれだけ引き出せるか。